Web制作で見積り誤って時給1,000円以下になった話

著作者:pch.vector/出典:Freepik

普段こちらでは日記的な記事は投稿しないのですが、とある案件で見積もりや作業内容への落とし込み、ヒアリングを大きくミスってしまい想定工数の3倍以上かかったので、自分も含めてWebクリエイター・エンジニアが同じ過ちを繰り返さないために記録しておきます。

今回の作業内容

  • SSL化
  • 絞り込み検索の不具合調査
  • 絞り込み検索の再実装(検索項目やアルゴリズムのディレクション含む)
  • テスト環境の用意
  • 賢威8の適用
  • サイトコンテンツの拡充(新着記事・人気記事・フォーム)
  • ロゴのリデザイン
  • Webデザイン
  • Webデザインの実装
  • サイト高速化(サーバーの整理含む)

結果的にこれだけのことを70,000円という金額でやることになりました。合計工数は恐らく70時間(7h×10日〜)以上はかかっており、時給換算で1,000円以下という何とも高い勉強代になってしまいました。想定外の不具合も多かったので、想定の3倍くらいの工数でした。

今回の反省点

普段と同じく、WebサイトのSSL化、デザインのカスタマイズ、高速化が元々のご依頼内容でした。しかし途中でWordPressテーマの変更が入ったり、使用していたプラグインが多く、また古く、サポート終了していたり競合したりするために想定外の不具合も起きたりしました。それらのリスクや工数の想定が甘すぎたのが一番の原因だったと思います。

想定外だったこと

  • プラグインがサポート終了のケース
  • 途中でテーマの変更が入るケース
  • テーマがほぼ素のHTMLだったのでモバイル、各固定ページ、パンくずリストなどの細かな部分などを含めたカスタマイズが必要だった
  • 賢威の仕様(賢威6と賢威7、8で対応PHPバージョンが違う、賢威非推奨のAll in One SEOからの移行時の注意点など)
  • ロリポップの特殊さ(wwwありなしで管理が別、リダイレクトが自動でされるなど)
  • セキュリティの高さによる作業時の手間(FTPアクセス制限、SiteGuardプラグインによるアクセス制限、WAFによる設定更新エラーなど )
  • サーバーの運用歴の長さによる古いファイルやプラグインの把握・整理工数、それによる不具合のリスク
  • サイト規模(PV数や記事数)による求められる慎重さや品質レベルの高さ、それによる増加工数
  • 上記に関連してテスト環境が必要になるケース
  • 作業期間が長引くとド忘れや別案件のし辛さで非効率なこと
  • 「納期が遅れてもいいから良いものを仕上げて」という要望の危険性(提供価値と工数の釣り合いを取ることの重要性)

このくらいの想定外と反省点があります。やはり賢威8に移行が決まった時点でデザイン工数や移行工数を大きく見誤ってしまったことが、一番良くなかったかなと思います。

一番辛かったのはデザイン修正

デザインについて当初の依頼が「今風にかっこよく」という曖昧なものだったのですが、最初は「これとこれでおいくら」という見積もりをしていました。しかし途中でWordPressテーマ変更というデザインが根底から変わるケースになったため、(デザインカスタマイズというよりサイトリニューアルなのに)+2万円のデザイン・実装費(工数1日)しか見積もっていなかったのがかなり痛かったです。

改めてよく考えれば、テーマの設定だけでなく、それによるプラグインの競合、ホーム・投稿・固定ページ・一覧ページすべてのデザインが変わること、またスマホ版も同じく対応・確認が必要なことなど、どう考えても2万円じゃ割りに合わないことは気付けそうなもんですが、当時案件が立て込んだり体調不良だったこともあり、判断力も鈍っていたのだと思います。

納期が明確にないというビジネスにとって不適切な状況により、取引期間が長引いたことも、途中変更による混乱の可能性や右往左往のリスクを高める原因になると感じます。

テーマがSEO重視の賢威だったこともあり、元のテーマデザインが結構殺風景であることも事前によく理解しておくべきでした。

クライアント様にご理解いただく難しさ

今回、テーマ変更とデザイン修正の途中でクライアント様に工数がかかり過ぎていることを伝えました(「正直、工数がオーバーしてしまっております…。」のように)が、お返事では工数について深く触れられず要望や要点のみの短いメールしか頂けませんでした。

フッターの色を再調整し、背景についても良いフリー素材が中々ないので、繰り返しのパターン背景をillustratorで自作して、「これでもう完了とさせてください」と言い切ったお願いにも「あとこれとこれまでやって完了にさせてください」と申し訳なさもなく追加要望されたので、流石にそこで「もう付き合いきれない」と判断し、未着手の分はすべてキャンセルさせていただきました(そのメールにも「追加で○○円払うので最後までお付き合いいただけませんか?」という短い返信のみで、「あ、この方はお客さんという立場では絶対謝らない人なんだな」と思い断固お断りしました。

正直途中の作業も、やればやるほど自分の時給=価値を下げることになるので投げ出したかったですが、やはりプロとしてクオリティーへの妥協も含めてプライドが許さなかったので、追加で2日くらいかけてようやく完了できました。

クライアント様のデザインリテラシーの高さって重要

デザインの擦り合わせも、最初に頂いた「こういうのが好きです」という参考サイトと、途中で頂いたサイトのタッチが結構違っており(同じ白基調でもフラットと立体デザインの違い、また同じ大人な雰囲気でもムーディーな黒系と落ち着いた白系の違いなど)、最初・途中・最後で結構違うデザインになってしまいました(都度CSSを修正した)。

やはり、どんなCSS編集によるデザインカスタマイズも、原則Adobe Xdなどによるデザインを作るべきだと痛感しました。

デザインが二転三転するのはあるあるだと思いますし、私自身も色相やトンマナ、タッチ、雰囲気、色合いなどの言葉の違いや定義をちゃんと理解できていないこともあるので、やっぱりデザイン(プロトタイプ)を作るのは効率的な方法です。

ITリテラシーも大事

Webではデザインができたら、それをCSSやJavaScriptを中心に実装していきますが、その作業の手間や難しさも、素人であるクライアント様にとっては中々ピンと来にくいと思います。

私も1つの文言を変える(「記事一覧」を「おすすめ記事」に変えるなど)だけでもPHPからイジる必要があったりで1〜2時間とか普通にかかっちゃうことなどは、エンジニアになる前は想像がつきませんでした。

Webというデザイン・機能両面の品質が求められ、複数のデバイス、ブラウザでの表示確認などもいる作業にかかる工数の目安を事前にもっとお伝えすべきだったと反省しています。

まとめ

今回、金銭的にも精神的にもかなりキツかったです。毎日8時間フルコミットしている正社員とは違うものの、4〜6時間を1ヶ月近く続ける仕事も中々骨が入ります。

結局クライアント様が上司である受託ビジネスも、なかなか理想的な働き方を実現するのは難しいなとも感じました。やっぱり自社サービス(エンドユーザーが上司)をやるのが一番なのかなと考えます。時間の切り売りから逸脱できてない点もありますしね。

今回のような想定外の工数やクライアント様とのトラブルを未然に防ぐには、こういったブログで事前に先駆者から情報を得ておくことも大事ですし、「やっぱ自分で経験してかないと身にならないし、起きてもいない問題の対策を調べるのはめんどう」という方は、せめてSTAND 4Uさんが出しているクライアントヒアリングシートを活用されるだけでも、今回の私のように大変な思いをせずに、より幸せな開発・デザインができると思います。